はじめに
筆者はサーバエンジニアなのでXeonをよく扱っています。
今回取り上げるのは、
一般的なハイスペックPCで使用するCore i7
ワークステーションやサーバで使用するXeon
具体的に何が違うの?
という観点で話をします。
※注意
一般的なノートPC用のi7はデスクトップ用のi5と大して変わりません。
今回はデスクトップPC用のi7ついての話題です。
Core i7 の特徴
Core i7 はヘビーなゲーム用途で最もコストパフォマンスの高いCPUです。これは、大きく5つ要因があります。
①予算30万円未満のPCがメインターゲットであること。
②メモリの搭載量は、一般的なゲームなら32GB以内で十分であること。
③大半の重いゲームでも、CPU利用率が4コアを超えて専有するようなゲームが
ないこと。
④ゲームで最も計算量が多いはグラフィック処理であり、高解像度・高FPSを
目指すならGPU への追加投資が効果的であること。
標準的なゲームPC構成では、
CPUとGPUの合計予算が5万円程度の場合(2:3)の比率
CPUとGPUの合計予算が10万円程度の場合(3:7)の比率
が一般的です。
これに、ゲームタイトルの推奨環境(CPU/GPU)を参考に構成を考えましょう。
⑤Core i7でゲームの読み込みを高速化することや、普通のPC操作を快適に
するには、CPUに掛ける予算の7割~9割程度の金額を目安に良いSSD
を導入しましょう。
※2016年3月現在、Samsung sm951-NVMe が最もコストパフォーマンスの良い
SSDです。
Xeon の特徴
Xeon は、高信頼性/大容量メモリ/大容量キャッシュ/高バス幅などが求められる
場合に初めて効果を発揮します。1.高信頼性
一般的にメモリが大容量になると、それだけデータの破損する確率が高まります。万一データが壊れた場合、Core i7 では一切修復することが出来ません。
一方、 Xeon ではメモリエラーを検出し訂正することが出来る機能があり、
ECC や registered と呼ばれる機能を備えたメモリと組み合わせることで
信頼性を向上しています。
2.大容量メモリ
Core i7 と Xeon の最大メモリ容量を比較します。最大メモリ容量はCPU1個あたりのものです。
デュアルCPUでは、2倍
クアッドCPUでは、4倍
システムに搭載し、OSが認識することが出来ます。
Core i7
2014年リリースのCore i7 4790k は 32GB
2014年リリースのCore i7 5960x は 64GB
2015年リリースのCore i7 6700k は 64GB
Xeon E3 (シングルCPU)
2013年リリースのE3-1200 v3 は 32GB
2015年リリースのE3-1200 v4 は 32GB
Xeon E5 (デュアルCPU)
2014年リリースのE5-2600 v2 は 384 GB
2014年リリースのE5-2600 v3 は 768 GB
Xeon E7 (クアッドCPU)
2014年リリースのE7-8000 v2 は 1536 GB
最新のi7では64GBまで搭載できますが、
パーツの相性問題や信頼性問題の懸念が
出てきます。
メモリの使用量が32GBを超える場合は、
Xeon E5 の購入を検討しましょう。
3.大容量キャッシュ
Core iシリーズのCPUにはGPUが内蔵されています。Xeon には GPU がありません。
GPU を使用しない分、CPUコア、またはCPUキャッシュを配置することで
CPU性能を高めています。
CPUキャッシュが大容量であるほど、メモリにアクセスする確率が低減し、
結果的に処理速度が高まります。
Core i7 と Xeon の最大キャッシュ容量を比較します。
Core i7 は最大 8MB
Core i7 Extremeは最大 20MB
Xeon は最大 45MB
4.高バス幅
Core i シリーズとXeonの処理速度に直結する最大の違いはバス幅の違いです。最新のCore i7 / Core i7 Extreme/ Xeon
以下の3つのブロック図で比較してみましょう。
Core i7対応チップセット z170
Core i7 Extreme対応チップセット x99
XeonデュアルCPU対応チップセット C612
メモリの同時アクセス速度は
z170の場合、34GB/sec
x99の場合、68GB/sec
C612の場合、136GB/sec
GPUやSATAより高速なSSDで使用するPCI-Expressスロットの帯域を比較すると
z170を使用する場合、CPU直結で接続できるPCI-Express x16のデバイスは1個まで
x99を使用する場合、CPU直結で接続できるPCI-Express x16のデバイスは2個まで
C612を使用する場合、CPU直結で接続できるPCI-Express x16のデバイスは4個まで
となっています。
Xeon が必要になるパターン
1.長時間の高負荷でも信頼性が求められるマシンが必要。
2.処理対象となるデータの絶対量が非常に多く、64GB以上のメモリが必要。
3.処理対象となるデータの絶対量が非常に多く、ディスク I/O 要求が厳し過ぎて
PCI-Express 接続 SSD が複数必要。
4.GPU処理(特にVRAM使用量とメインメモリアクセス)が多く、GPUが3個以上必要。
いずれかのパターンに1つ以上当てはまる場合は、Xeonが効果的です。